みなさん、ようこそ!この教科書を開いたということは、生涯続くかもしれない有益な関係—日本語、日本文化、日本人との関係—を築くための道のりへの小さな一歩であり、重要な一歩でもあります。学校の授業を選択することは、他の授業との兼ね合いを考慮しなければならず、それと同時にその自分が選んだ授業が持つ、自分の将来への影響も考慮しなければならず、いつも容易ではありません。したがって、あなたが日本語を勉強しようと決めたとき、自分が正しい判断をしたかどうか確かかどうかわからないのは、いたって自然なことです。しかし、この後に書かれていることを見ればその迷いも晴れるでしょう。さぁご覧になってください!
太平洋を挟んだ隣国の言語と文化を理解する
日本は、過去何十年という歳月をかけ、アメリカの価値ある友達、また好敵手となりました。その過程の中で、日本はアメリカの大衆文化、そして民主主義的価値を取り入れてきました。また、日本はコンピューター・テクノロジーの発展に注目し続け、アメリカ社会の基礎構造を学んできました。一方、アメリカは日本の合意に基づいた協力体制のうまさ、効率的な廃棄物リサイクル、効果的な警察のシステムを評価し、また食事と長寿の関係に感銘を受けました。この二つの国の協力と相互の有益性を生むための機会は多くありました。しかし、いざアメリカと日本がお互いの言語と文化を学ぼうとしたとき、両者の関係は一方通行でした。アメリカは日本にもっとも研究された国の一つでしたが、日本はアメリカ人に多くの不可解なことを残してきました。アメリカと日本の両国にとってより相互的な利益を生む関係と交流を築くため、その一方通行を解消し、交通の流れを良くしなければいけません。やはり、両国は太平洋を挟んだ隣国なのですから。
世界で最も話されている言語のトップ10の一つを学ぶ
日本は島国です。日本列島は訳1万年前にアジア大陸から分離したと信じられています。このことは歴史上なぜ日本人が日本語だけ喋るのか、なぜ外国語から隔離されていたのかを自然と説明しています。この事実にも関わらず、世界において日本語は最も話されている言語のトップ10です。当然ながら、日本の人口(1億2千万人超)は考慮されるとしても、グローバル経済の発展と旅行と移住がより安価・頻繁になるに伴い、海外の日本語話者は著しく増加している。
よりよい学習者になり、一生使う技術を身につける
英語と異なる言語、日本語を学ぶということは、知性を伸ばし、知識の範囲を広げるということです。その言語の背後にある文化的ニュアンス、見識、思考の理解、またそれらに対し洞察力を高めるということは、ただ単純に語彙や決まり文句を記憶するということを超越した自発的な参加が求められる挑戦です。また、学習過程においてその参加が自分自身のスタイルや必要性により適しているよう調節ができているかを幾度も確認し、それを反映しなければなりません。そして、効率性向上を目的とした組織化をはかるため、また理解を深めるための推測力をつけるために必死にならなければならないかもしれません。結局その調節がどうであれ、その過程はあなたを革新的、自主的、自律的な生涯学習者へと導いてくれるものになります。
二文化というレンズが付いた眼鏡をかける
自分自身のこと、そして自分の中に受け継がれた財産について学ぶ最良の手段の一つは、全く異なるものを学ぶことだとよく言われています。日本語を学ぶということは、自分の言語と文化を全く新しい見方で見るということを促し、新しい鑑賞へと手引きしてくれます。それに加え、物事を客観的に見ることができるような考え方、また思慮深く考え抜かれた視点、仮説、概念と、軽率な固定観念に染まったそれらを識別できるような考え方をもたらしてくれます。つまり日本語学習は、まるで全く新しい世界観を与えてくれる魔法のレンズが付いた眼鏡をかけているような物事の見方を身につけさせてくれるのです。その眼鏡をかければ日本で生まれ育った人と同じ方法で物事を見たり、感情を味わったり、意味を構築したりできるようになります。また、その眼鏡を外した時、多くの局面でどれだけ私達が似ているかということに気づきます。さぁ、二文化のレンズが付いた眼鏡を自分に与えてあげてください。利益と可能性は無限大ですよ。
アメリカの高校で急成長している科目の一つを学ぶ
日本語は過去何十年の間でアメリカの学校で急成長している科目の一つです。米国現代語学文学教会(MLA: Modern Language Association)によると、1990年の大学における日本語コース履修者数は4万5717人で、1960年の1746人と比べ、26倍増加しました。1990年まで、日本語はアメリカの大学で最も勉強されている外国語の第五位でした。さらに、中等教育レベルでの日本語履修者数は、1980年代から著しく増加しました。アメリカ外国語教育協会(ACTFL: American Council on the Teaching of Foreign Languages)によると、公立高校における日本語コース履修者数は1985年の8557人から、1990年には2万5123人に増えたようです。この数字は、4年後に70%増の4万2290人にまで膨れ上がりました。
刺激的で実りあるキャリアを積む機会のための準備をする
公式・外交的なものから、個人・草の根的なものまで、アメリカと日本との間の全ての行き来、またはやりとりは両国の相互依存、友好関係の絆を強めてきました。また、日米両国の関係が強まると同時に、グローバル経済と国際交流の拡大が見られるようになりました。それにより、人々は今までとは異なったキャリアと将来を切り開く機会を得られるようになりました。つまり、世界において果たす両国の重要な役割が意味することは、日本語と日本文化の知識に長けた者にその機会が与えられるということです。
語学学習者の活動的、行動的、独創的なコミュニティーに参加する
教科書の流動的な流れを作るために、チャプターごとのテーマが一つ一つ結びついています。一連のプロジェクトと開かれたシミュレーションはそれぞれのチャプターをつなげるもので、あなたを次の段階へと進めてくれることでしょう。この段階では教師からの力添えは最小限に抑えられます。その代わり、あなたは自分で計画を立て、与えられた課題をクラスメイトと共有し、進歩を観察することが求められます。ここで学習することは、語彙の小テストで満点を取るなどの単純な努力、そして受動的な知識の吸収のどちらでもありません。それは、行動的なコミュニティー・アクティビティーなのです。